證明寺 盆綱

(しょうみょうじ ぼんづな)

平成23年8月13〜15日 
成田市山口の臻暁山(しんぎょうざん)證明寺(しょうみょうじ)で

盆綱(ぼんづな)と言われる民俗行事が
行われました。これは14・15日にメモです。

千葉市から車で北東へ30km 約一時間 成田ニュータウンを過ぎるといきなり
田園地帯に入ります。右手奥の高台がそれらしい。
車を置いて少し歩くと目指す證明寺が見えてきました。

この寺は天台宗のお寺で、創建は延文年間(1356〜1361)・・・
(足利尊氏・義詮の頃) 
その後安政六年(1859)・・7代将軍家茂の頃・・・焼失、
万延元年(1860)再建されたと言う古刹です。

住職の郡司弘道師は第24代だそうです。
この寺には「證明寺縁起」という享保五庚子中秋作成された古文書があります。
この近くの雷神社の由来なども記されています。

雷神社の御太刀行事は以前私のホームページで紹介しました。)
この行事は藁で編み上げた龍蛇を子どもたちが担いだり、引いたりしながら
13・14・15の三日間、区域内を練り歩き、

五穀豊穣・疫病退散などの祈願をするものです。

参加する子どもは小学生の男子と決められており、昔は沢山の子どもが

いたので、龍蛇の長さも10mから20mもあったそうですが・・・
今は少なくなり、今年は4人でしたので、3mくらいの龍蛇になりました。
(私の身長から割り出しました)
この行事は13日に龍蛇を作ることから始まります。
その日は取材出来なかったので作成の様子はご報告できません。

最終日15日 9時に出発です。
 
住職さんに見送られてお寺を出発します。
三日間父兄の方が交代で付き添います。

以前は子どもだけだったようですが
少人数になった為、低学年の子どもが参加せざるを得なくなり

安全の為父兄が付き添うようになったそうです。
しかし大人たちは殆ど口出しはせず、道順や休憩は

子どもに任せているのだそうです。
90軒ほどある家を3日間毎日回ります。
玄関へ着くと、一人の子供が「盆綱です、おぼしめし下さい」と声をかけます。
優しく声をかけて貰い、御祝儀を頂きます。
龍蛇は門の前とか玄関先で待機して、「おぼしめし」を待ちます。
御祝儀と一緒にお菓子を下さる家もあります。
だからリュックサックが要るのです。
道すがら子どもたちはリーダーに従って
「ろーっこんしょうじょう」を唱え続けます。
おぼしめしを頂くと足取りも軽い感じですね。
猛暑の中、適宜休憩です。
水分補給と貰ったお菓子の分配。
(お金は最後に分けます)
さあ出発です。
おぼしめしを頂く役はリーダーの指示で交代で行っているようです。
ろーっこんしょうじょう
大体訪問する時間は決まっているので、待っている方も多いようです。
 
なかなか出てこない家では・・・・・ついついドアに手をかけて・・・
先輩が無茶するなと叫びます。

やっとドアが開き頂きました。

有難うございました。 
有難うございます。
雷神社の前を通ります。
ここは6月に御太刀行事の行われたところでした。

見覚えがあります。

この盆綱行事もその時に教えてもらったのです。
三日間のおぼしめしは子どもたちが平等に分配するのだそうです。
結構な額になるので、ゲームとか買うのが楽しみのようです。

暑いなどとは言っておれません。
待っている間は無造作に龍蛇を道におきますが、
絶対にまたいではいけません。

盆綱は神聖なものなのです。
 
この行事は、稲作の地域では水害や旱魃の被害が
心配されるので、水をコントロールしている龍蛇の霊験を

期待しているとも言われますが、お盆に行うことから
祖霊の乗り物ではないかとの説もあります。

この絵を見るとそんな感じもしてきます。
 
この行事は子ども達が地域をくまなく回るので、
大人も子どもの顔を覚えることが出来ます。

現に付き添いの大人に「この子はどこの子か」と聞いている人もいました。

このようにして地域の世代を繋ぎ、連帯感が育まれるように思われます。
 
 しかし子ども達にとって炎天下三日の巡回はきつい試練でしょう。
 
ここでは付き添いの父兄が花火を上げてやったりして、
遊びの要素もちゃんと組み込まれています。 
 
区域内は広く、山林・田畑・町並みといろいろあります。 
 
 昼なお暗き・・・・というような所もあります。
炎天の三日間、今日は最終日です。
向こう見えるのが昭和48年に開発された成田ニュータウンです。
この地区もそれに入るかどうか議論があったそうですが、

農家が多く結局入らなかったとのこと。
まだまだ続きますが、終わるのは午後の7時頃だと聞いて
この辺りで皆さんとはお別れすることにしました。

それでは皆さんお元気で・・・・・

盆綱が世代と地域織り重ね

これで僕の見た盆綱はお仕舞いです。
龍蛇を製作するところから取材したかったのですが

日程の関係で出来なかったのは残念でした。
でも行事のすばらしいところ、世代と地域の絆を

作り上げるプロセスの巧みさには驚きました。

今般の取材に際してご協力いただいた
證明寺住職 郡司弘道師ご夫妻

龍蛇を三日間練り歩いた子ども達と父兄の皆様
に感謝いたします。

また

●成田市史研究29号(2005年3月)に掲載された
          成田市山口の盆綱ー現代にいきづく民俗行事(弓削田綾乃氏)

     ●成田史談 47号 成田市文化財保護協会編に掲載された
村の神々たち(山田勝則氏) 
 
など参考にさせていただきました。
皆様に感謝いたします。

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